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5月 ミズムシ
風薫る五月の候、日本列島は一年中で一番爽やかな季節の訪れです。身体は心地よくても、時には汗ばむほどの陽気の日もあり、一日中、靴と靴下で蒸風呂状態の足にとっては、受難の日々の始まり。

今月は今やサラリーマンの三人に一人は”飼い主”であるという、親しみ深くも憎っくき敵、ミズムシについて患者の皆様からよく受ける質問について、分かりやすくQ&A方式でまとめてみました。
Q: まず、ミズムシの一般的なことについては?
A: 虫がいて、ムズムズと動き回るためにかゆくなる、とお考えの向きもあるようですが、原因は白癬菌(はくせんきん)というカビの一種が棲みついて起こる病気です。
Q: そのカビについて詳しく。
A: 種類は数種ありますが、皆、暖かくてジメジメしたところや、不潔なところが大好きで、活発に活動、増殖を始める初夏から症状が悪化し始め夏がピークです。
Q: 主な症状は?
A: 三タイプです。趾の間の皮膚が白くふやけて時にパックリ裂けるタイプ、水疱が出来て皮がむけるタイプ、お供え餅のように足の裏がガサガサになりひび割れができるタイプです。
Q: 伝染するのですか?
A: します。家族の中にミズムシのある人がいて、うつってしまうのが一番多いようです。今まで私のクリニックにおける患者さんの最年少は、四ヵ月のまだ歩けない赤ちゃんでした。
Q: 伝染の経路は
A: お風呂のマット、トイレのスリッパなどですので、家族の中にミズムシの方がいる場合は、別にすることと、こまめに日光消毒の必要があります。ただ、タタミだけは洗ったりも出来ず、お手上げに近いですね。
Q: やはり治療するしかありませんね。しかし、一生治らないとよく聞きますが?
A: 治らないということはありません。ただ治療は持久戦と覚悟してください。ミズムシにも生活のリズムがあり、冬には菌の数も減って活動も鈍くなります。この時期、治ったと思って治療を怠ると、毎年同じことの繰り返しです。
Q: なるほど。それで具体的な治療方法は?
A: まず、本当にミズムシかどうか医師の診断を受けましょう。ミズムシにそっくりの別の病気もあります。白癬菌の検査は、皮膚科ならその場で簡単にできます。次に清潔にすることがミズムシ退治の基本です。大抵の場合は外用薬を1日1〜2回、3ヶ月から半年ぐらい塗るだけですみます。外用し始めて二週間から二ヶ月のうちに、おおよその症状は一段落し、他の人への菌のばら撒きによる感染の危険性は、消失すると言われています。重症の場合には内服薬を用いる場合もあります。
Q: 他に気をつけることは?
夏場によくあることですが、放ったらかしにしておいたミズムシにバイ菌が入って、腿の付け根のリンパ腺が腫れ、歩けなくなって来院される方がよくあります。趾間の裂け目や自分で潰した水疱からの感染がほとんどです。また、長年の皮膚のミズムシの放置により、爪に菌が入ってしまうと、完治するのに数年かかることもあります。やはり、軽症のうちにキチンと治療するに限ります。

今や世の中、ボールペンまで抗菌素材のチョー清潔志向。そこのお父さん!「ミズムシぐらいじゃ死なないし、痒いくらいならいいや」なんて言っている場合ではありませんゾ。
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