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11月 体の警告信号「痛いブツブツのヘルペス」
秋もめっきり深くなりました。朝晩の温度差が大きいこの時期は体が順応しにくく風をひいたり、とかく体調をくずしがちです。体力が落ちている場合、風邪以外にも細菌やウィルスに抵抗力が弱くなって、思わぬ病気に見舞われることがあります。そこで今月は、体力が落ちた時に突然出て来る痛いブツブツ、ヘルペスのお話です。
Q: まず、ヘルペスとは?
A: 日本語では、「疱疹」(ほうしん)と言い、水ぶくれのブツブツのことです。原因となるウィルスにより二つのヘルペスがありますので順に説明しましょう。

たんじゅんほうしん
単純 疱疹 (単純ヘルペス)
風邪で高熱が出た後に、口の周りに小さい水疱ができて、周囲が腫れ上がり痛い思いをした経験のある方も多いと存じます。
俗に「熱の花」とも言うようですが、これが単純ヘルペスの最もポピュラーなタイプと言えるでしょう。
Q: 原因はウィルスですか?
A: 単純疱疹ウィルスの感染によるものです。通常、水ぶくれからかさぶたになって二週間ほどで治りますが、その後ウィルスは、水ぶくれが出来た皮膚を支配している知覚神経の節に潜んでしまいます。そして、普段はその人の免疫力で抑えられていますが、風邪や発熱、日光浴など体力が低下すると前とほぼ同じ所に何度でも再発します。
Q: 口以外、他の所には?
A: 指、体、陰部等、どこにでも出来ます。特に陰部の場合はセックスによって伝染することが多いため、現在はSTD(性行為感染症)のひとつに分類されています。
Q: 治療、予防は?
A: ウィルスの増殖を抑える特効薬(内服、外用)があります。出始めに用いると、それ以上の悪化を防ぎ経過を早めることは出来るのですが、残念ながら再発の予防にはなりません。単純ヘルペスが出来たということは、体調が悪いという体からの警告だと考えて、無理をしないよう生活を見直してみましょう。

たいじょうほうしん
帯状 疱疹
水痘、帯状疱疹ウィルスによりおこります。子供の時の水痘(水ぼうそう)のウィルスが、治った後も神経節に潜んでいて、単純性疱疹のように体調の変化をきっかけに、ウィルスが再び暴れだすのが原因です。
Q: 出来る部位と症状は?
A: 最も多いのは体ですが、頭、顔、腕、脚にも珍しくありません。ウィルスが潜んでいた神経が支配している、体の片側の皮膚に、水ぶくれがたくさん帯のように並んで出ることからこの名前があります。知覚神経が侵されるため、人によっては眠れない程の強い痛みを伴うことがあります。
初期の治療が適切になされなかった場合、皮膚の症状が治ってもこの痛みが後々まで続くことがあり、帯状疱疹後神経痛とよばれます。
また、特に部位が顔や耳の場合には、角膜炎、顔面神経マヒ、聴力障害、味覚障害など種々の合併症を引き起こすことがありますので、必ず皮膚科を受診してください。
Q: 治療および経過は?
A: 先ほどの抗ウィルス薬と皮膚にはその状態に合った軟膏を使用し、通常二〜三週間で治り、痛みも徐々に薄らぎます。最初から痛みがひどく神経痛が残りそうな場合は、麻酔科で神経ブロックを行う時もあります。普通、帯状疱疹は一生に一回しかかかりません。繰り返しかかった時は免疫力が低下していることが考えられ、重大な病気が隠れていないか検査を施行する場合もあります。
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